北川鉄工所、半導体市場への進出を果たし、2社を子会社化

ビジネス

北川鉄工所は7月14日に半導体向け研磨材などを製造・販売する2社、ケメット・ジャパン(千葉市)とシステム精工(新潟県長岡市)を完全子会社化することを発表しました。これにより、北川鉄工所は新たな成長分野として半導体事業に進出し、その事業領域を拡大することとなります。

ケメット・ジャパンは2002年に英国の研磨材メーカーケメットの日本法人として設立された会社です。主に半導体や電子部品の研磨に用いられる研磨関連設備や検査装置などを取り扱っていて、その売上高は2023年の3月期には約9億7100万円を記録していました。

一方のシステム精工は、ハードディスクドライブ(HDD)に使用される磁気ディスクの製造装置を製造・販売しています。世界シェア80%を占める研磨装置も持ち合わせ、その技術を応用して半導体市場への展開も行っています。こちらの売上高も2023年の3月期に約29億円となるなど、堅調な成績を収めていました。

これまでの情報から、北川鉄工所が一貫して取得を狙っていたのは、半導体ウエハーを研磨するフルラインを持つ会社であることがよく理解できます。すでに2社は半導体ウエハーを研磨する過程で、研磨材から装置までを共同で一括受託しており、完全子会社化によって、一連の流れをよりスムーズに、そして効率的に行えるようになることでしょう。

北川鉄工所は、新たな成長分野への参入を目指し、2020年頃からプロジェクトチームを立ち上げ、M&A(合併・買収)によるビジネス展開を模索してきました。今回の2社の完全子会社化は、その一環とみられます。同社は、半導体業界の成長を予見し、積極的に新たな事業の柱を築くことを決定しました。

一方で、北川鉄工所の担当者は、24年3月期の業績への影響については「今後必要があれば開示する」とコメントしています。これは、拡大する半導体分野への参入が、直ちに業績に反映されるものではなく、継続的な成長と共にその効果が現れることを示唆しています。

半導体業界の拡大は日本国内外でも注目されており、ほぼすべての電子製品に半導体が使用されている現代社会においては、この動きは業界全体にとっても重要な意味を持ちます。新たなプレーヤーが参入することで、競争が活発化し、さらに進化した半導体技術の開発が期待できます。北川鉄工所のこの決断は、半導体業界、さらには日本の電子産業全体への新たな挑戦とも言えるでしょう。

参照記事・引用元画像
北川鉄工所、半導体事業に参入 研磨材など2社買収 - 日本経済新聞
北川鉄工所は14日、半導体向けの研磨材などを手掛ける2社を完全子会社化すると発表した。31日に半導体の研磨材を販売するケメット・ジャパン(千葉市)と、ハードディスク自動製造装置などの製造・販売を手掛けるシステム精工(新潟県長岡市)の株式をそ...