村山八段が語る「伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦」の展望と期待

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ついにスタートした「伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦」。プロ将棋界の一大イベントであり、双方の勝負の行方が注目される。事前の展望を聞いたのは副立会人を務める村山慈明八段(39)。2007年の新人王戦、15年のNHK杯で優勝した実力者で、19年に東京から関西本部へ移籍した村山八段は、この王位戦ついて語ってくれた。

特筆すべきは、藤井聡太王位(20)が10手目で展開した1局面についての感想だ。その動きは予想外のもので、藤井王位の新たな一面を垣間見た瞬間とも言えるだろう。

「先月、七段昇段後190勝を挙げて八段に昇段しました。昇段は棋士にとって大きな喜び。王位戦の副立会人という非常に大きな仕事の前に昇段でき、タイミング的にもうれしいです」と村山八段は話す。プロの世界では結果が全てであり、昇進はその証明でもある。

一方、藤井聡太王位は先勝した第1局を振り返り、「佐々木大地七段が序盤から工夫を凝らし、佐々木さんが有利な局面が多かった。藤井王位も苦しめられたと話しており、内容的には挑戦者としても悪くない内容だったと思います」と評価。そのうえで、「佐々木七段は王位戦リーグと棋聖戦トーナメントでそうそうたるメンバーを破り、いま一番勢いのある棋士と言ってもいい。調子の良さを続け、今まで4局消化してきたが、どちらが勝ってもおかしくないような戦いが続いています。藤井王位としても簡単なシリーズにはならないでしょう」と予測。

さらに、始まったばかりの第2局については、「相掛かりは佐々木七段のエース戦法。互いに工夫が出しやすい将棋だが、早くも前例の少ない局面になり、注目しています」と語る。このコメントは、2人のプレーの水準を示す一方で、ファンの期待感を掻き立てるものだ。

「ファンの楽しみ方は、2人とも序盤から意欲的な手や今までにない発想の手がよく出ているので、みんながびっくりするような手が本局でも見られるかもしれない」と言い、「中盤、終盤戦も熱戦がかなり期待できるので、勝負という意味でも注目して見ていただきたい」と観戦者に向けたメッセージを送る。

一方で、藤井王位が選んだ驚きの一手について村山八段は「後手番の藤井王位が3四歩と角道を開けた手は、その手自体は珍しい手ではないが、藤井王位が指すのは2局目ぐらい。先手の勝率が高い戦型に進むことが多いが、藤井王位はあえてそういった手を指した」と振り返る。そして、「これまであまり指してこなかった手だったので、それが今後どう展開するのかが非常に注目されています」と続ける。

つまり、藤井王位がこの手でどのような戦略を見せてくれるのかが注目点となる。驚きの一手について「あえて選んだので、用意の作戦もあるだろう」と推測する村山八段のコメントを信じて、将棋ファンはこれ以上ない興奮を楽しむことができそうだ。

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