AIや仮想通貨ではなく、ビーチサンダル。これはファッションを愛する慶應義塾大学の学生、小林虎太郎さんが、大学の授業で提出したプロジェクトが商品化した一連のビジネスストーリーです。
当初、このビーチサンダルは海辺に暮らす人々のために作成されていましたが、小林さんはこれを都市で使用する高感度なプロダクトにリモデルし、SNSを使用してPRしました。本記事では、その一連のプロセスと彼の想いを紹介します。
〈ビーチサンダル、ギョサンの新たな挑戦〉
ビーチサンダル「ギョサン」は、濡れた地面でも滑らず、毎日履いても老朽化しない頑丈なアイテムとして、サーファーや離島に住む人々から愛されてきました。特に「丸中工業所」の製品であるギョサンは、奈良県御所市を拠点にした家族経営の工場で製造されており、製品の質に絶対の自信を持っています。
50年以上もの間、最高品質のビーチサンダルを提供し続けてきた丸中工業所ですが、一方でいかに若い世代にアプローチするかという課題に悩んでいました。それは、ビーチサンダルが古風であるというイメージが強く、特に最新の「ギョサン カリプソ TYPE-T」は、若者の間で全く認知されていなかったからです。
ここで登場するのが慶應義塾大学の小林虎太郎さん。彼は大学のPR戦略の授業で、「自分が人に薦めたい物を、薦めたい人に伝える戦略を考える」ことが課題とされ、この「ギョサン」を選びました。そして「ギョサン」の新しいターゲットとして都市部に住む若者を提案しました。
〈ギョサン カリプソ TYPE-Tの進化〉
小林さんの提案を受けて、丸中工業所は彼と一緒に新たな「ギョサン カリプソ TYPE-T」の商品開発を始めました。ギョサンにはすでに多くのカラー展開があったため、新しくどのような色を追加すべきかについて悩んだところ、現在の若者が支持する2つの色、すなわち「SUMI」と「KINARI」に決定しました。
また、ビーチサンダルが海で履くアイテムというイメージを覆し、「都市部に住む若者向けのギョサン」という新しいブランディングに挑戦しました。結果、商品開発に参加した初の学生である小林さんにより、新色モデルは2023年6月にリリースされました。
〈PRから商品開発まで〉
初のWEBサイト作成にもチャレンジした小林さんは、「掲載する写真やアイコン一つとっても悩んだり、やり直したりと試行錯誤の日々だった」と語ります。一方で、これまでの経験を活かして、より多くの対象者にギョサンの魅力を伝えるため、メンズとレディースの両方を展開し、サイズも増やすことを試みています。
また、小林さんは、ビーチサンダルがカジュアルなアイテムであるという一方で、夏は涼しいだけでなく、靴下を履いたり靴紐を結ぶ手間が不要であるなどのメリットがあることを強調しています。そして将来的には、街で「ギョサン」を履くライフスタイルが定着することを目指しています。
50年以上もの歴史を持つビーチサンダル「ギョサン」は、一人の大学生の授業の一部から新たな一歩を踏み出しました。興味深いビジネスストーリーを持つこの商品が、都市部の若者にどのように広がっていくのか、今後の展開が期待されます。
参照記事・引用元画像
![](https://images.forbesjapan.com/media/article/64456/images/main_image_24570d28b326201193c4465ef6966747901aecd6.jpg)