「史上最高額155億余で落札されたグスタフ・クリムトの晩年作『Lady with a Fan』」

まちの話題

オーストリアの象徴主義の巨匠、グスタフ・クリムトの晩年の代表作である肖像画「Lady with a Fan」が、先日行われたイギリスのオークションであたかも美術界の常識を覆すかのような、想像もつかない高値である155億円余りで落札されました。落札された価格は、ヨーロッパにおける美術品オークション史上最高額となり、以前の最高記録である2010年にスイスの彫刻家ジャコメッティの作品が落札された際のものを大きく上回りました。

〈グスタフ・クリムトとは〉

グスタフ・クリムト(1862-1918)は、19世紀末から20世紀初頭のオーストリアを代表する画家で、象徴主義を一世風靡させたアーティストとして知られています。彼の作風は、人物の内面を浮き彫りにする独特な手法や、金箔を贅沢に用いた華麗な装飾性が特徴的で、若干のエロティシズムを含んだ女性像は独特の美的センスを見る者に強く訴えます。

〈Lady with a Fan の魅力〉

「Lady with a Fan」はクリムトの晩年の作品で、女性が扇子を持ち、遠くを見つめる姿が美しく描かれています。背景には鳳凰や蓮の花が配置されており、それらのモチーフはクリムトが一時期熱中した日本美術や中国美術と、西洋の象徴主義の融合を象徴しています。美の追求と心象風景への探求が共存する一作で、東西の美学を巧みに組み合わせたクリムトの高い芸術性が垣間見えます。

クリムトの描く女性像は、その独自の表現技法により、細部まで描き込まれた豊かな装飾とともに描かれます。そして、この細部へのこだわりが詰まった「Lady with a Fan」は、彼の作品の中でも特に鮮やかな色彩を使用した作品として、現代でも多くの芸術愛好家を虜にしています。

〈オークションでの評価〉

この高額落札の背後には、クリムトの作品に対する国際的な評価の高さが反映されています。また、「Lady with a Fan」は画家の存命中に描かれたごく少数の作品の一つであるとともに、晩年の代表作とされており、そのまれな存在感があらためて注目を集めました。

ヨーロッパの美術市場でこれほどの金額で落札されたことは驚異的で、これからもクリムトの作品は華麗さと深淵さを兼ね備えた独特の美術世界とともに、今後もその価値を増していくことでしょう。

グスタフ・クリムトの「Lady with a Fan」の驚異的な高値落札は、彼の芸術に対する世界的な評価とともに、未来への期待をも物語っているかのようです。今後も彼の作品がどのような影響と魅力を放つのか、注目が集まっています。

参照記事・引用元画像
エラー|NHK NEWS WEB