全国に492店舗を展開するネットカフェチェーン、快活CLUB。2023年3月期連結決算における売上高は1762億円で、営業利益は102億円であり、このうちエンターテイメント部門の売上高は712億円、営業利益は33億円を記録。そのうえ、この業界の金字塔である同店が、無料のドリンクバーとソフトクリームの提供を有料化するとの情報が、SNS上で拡散されて話題となっています。
〈ドリンクバー有料化は中止〉
7月14日より、快活CLUB秦野曽屋店 1店舗でドリンクバーを席料とは別の費用として有料化する予定でしたが、快活CLUB秦野曽屋店のHPによると多くのお客様のご意見を踏まえ中止になった模様です。
快活CLUBは、紳士服チェーンAOKIホールディングスが2003年に創設。快活CLUBが提供する個室は、ワイドモニターやパソコン、リクライニングシートが備えられており、3時間で1660円(税込み)から利用できます。また、コミックは最大5万冊、雑誌100タイトル以上が読み放題で、店舗によってはカラオケやダーツ、ビリヤードのスペースも設置され、有料の食事メニューも豊富に揃えられています。
また、これまでの無料サービスであった朝食やシャワーの使用料、タオルの利用料も有料化され、食事メニューの値上げや学割引率の引き下げ、土日の追加料金の値上げなども進行しています。これらの変化は、店舗数が500店舗に達し、既存顧客が一定数確保されたこと、物価上昇による理解の深まりなどが背景にあると考えられます。
そんな快活CLUBの出自について見てみると、2003年にAOKIグループの紳士服チェーン店がネットカフェ事業として創設したものが起源です。その後、不採算店を業態転換して次々とチェーン展開。現在ではネットカフェ市場で4割以上のシェアを持つ企業へと成長しました。
しかし、近年ではネットカフェ業界全体が縮小。これはスマートフォンの普及と漫画アプリの台頭、さらに新型コロナウイルスによる影響が大きいとみられています。それにより、2018年度の約15億円の黒字が2021年度には約30億円の赤字に転落。それでも、2022年度には約20億円の黒字に回復するなど、変動に対応する力は依然としてあります。
そして大きく注目されているのが、無料モーニングの廃止やシャワーとタオルの有料化、ソフトクリームのシロップ撤去など、一部のファンから不満の声が上がるサービスの廃止と変更です。その理由としては、運営経費の圧縮や、円安やウクライナ問題による人件費の高騰、物流コストの増加などが挙げられています。
これらのサービスの廃止に不満がある一部の顧客が離れてしまうかもしれませんが、経営戦略の観点から見れば、節約できる経費が大きいという判断によるものでしょう。後続企業として業界に参入した際の必要な戦略として、過剰な無料サービスを削減するタイミングだと考えられます。
また、快活CLUBの親会社であるAOKIは、フィットネスクラブ「FiT24」の事業も展開しており、中高年の健康管理需要とリンクさせた新たなサービスを提示する可能性があります。
物流コストの上昇やターゲット層の変化など、現在のネットカフェ業界は新たな時代を迎えています。その中で快活CLUBがどのように進化していくのかは、業界の動向を理解する上でも重要なポイントとなりそうです。
参照記事・引用元画像
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