大手電力会社に対する業務改善命令– カルテルの問題を解明

ビジネス

経済産業省は14日、関西電力、中国電力、九州電力、及び中部電力・九州電力の子会社に対して、業務改善命令を出しました。これらの会社が事業者向け電力販売においてカルテルを形成し、不適切な競争を引き起こしていた問題に対してのものです。

これら5社が事業者向け電力販売で顧客獲得を巡って不適切な取引をしていたとして、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会が業務改善命令の発出を命じたのは6月のことでした。具体的には、顧客獲得の争奪戦を回避するために、カルテル(価格や取引条件を事前に合意するなど、競争を阻害する秘密の協定)を結んでいたことが指摘されています。

関西電力に対しては、主体的に他社に対してカルテルを結ぶように働き掛けていたとされ、その悪質性が認められました。さらに、他の4社も関西電力と販売状況や営業体制など重要な情報を交換していたと指摘されています。経産省からの命令は、今後の業務改善計画を8月10日までに提出し、計画の進捗報告を定期的に行うことを求めています。

経済産業省は、電力業界全体に対しても指導を行っています。カルテル形成の他にも顧客情報の不正閲覧などが相次いで発覚していることから、全10社とその傘下の小売事業者に再発防止と健全な競争環境を実現するための対策を指示。さらに、業界団体の電気事業連合会には法令遵守の徹底を求める指導を行いました。

一方、松野官房長官は記者会見を通じてこの問題について言及。「電力自由化を通じた競争の促進は重要であり、大手電力会社が長期間にわたり相互のエリアで小売の営業情報を交換していたことは電力システム改革の趣旨に反するもので、極めて遺憾」と述べました。また、再発防止と信頼回復に努力すべきだと各社に求め、経産省による競争促進策などの検討を進めることを約束しました。

九州電力は、「お客様をはじめ関係者の皆様に、多大なご心配とご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます」とコメント。命令を厳粛に受け止め、監督官庁の指導のもと、法令順守の強化に努めると語りました。

関西電力も「関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことを改めて深くお詫び申し上げます。再発防止策の徹底と組織風土改革に全力を尽くす」とコメントしました。なお関西電力は既に2020年と2021年に2回、不適切行為で業務改善命令を受けています。

今回の業務改善命令は、電力業界に震撼を与えるものであり、各社の真剣な対応が求められています。カルテルの存在は、競争を阻害し、消費者の利益を奪うものとなります。事業者全体が競争原理に基づく適切な行動を取り、公正なビジネス環境を構築することが求められています。

参照記事・引用元画像
エラー|NHK NEWS WEB