JSRが大量の買いでストップ高気配、産業革新機構がTOBへ

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半導体材料であるフォトレジストが主力のJSR(4185)に大量の買い注文が入り、一時ストップ高気配となりました。この原因は、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)がJSRへの株式公開買い付け(TOB)を実施する方針が報じられたことが影響し、個人投資家を中心に買いが加速したことによるものです。

 報道によれば、JICは約1兆円でJSRを買収する方針で、これを実現すべく新会社設立と、みずほ銀行や他の金融機関から融資を受けて買収資金を調達する計画が進められています。TOBが成立すれば、東証プライム市場に上場しているJSR株は上場廃止となる見込みです。

 JSRはこの報道を受け、取締役会で議題にあげる予定であるとコメントしています。また、関連企業である東京応化工業(4186)や大阪有機化学工業(4187)なども連想買いで株価が上昇しました。

〈買収後の展望〉

 もしJICによるJSRの買収が成立した場合、今後の展開に注目が集まります。TOB成立を受け、JSRはさらに成長を続けることができるか、またどのようなビジョンでビジネスを展開していくのかが重要となります。

 半導体産業は高い成長が予想される分野であり、国際競争力を維持・向上させるためにも研究開発力や設備投資が求められます。JICとJSRは、協力体制を築くことで、コスト削減や業務効率の向上を図ることが期待されます。また、国内外の他の半導体関連企業との連携や協業を進めることで、より強固な半導体産業を形成することができるかもしれません。

 一方、買収による影響でJSRが上場廃止となった場合、個人投資家や株主からの資金調達が難しくなる可能性があります。これに対し、JICがJSRの安定的な資金調達をサポートできるかどうかが焦点となります。

また、JICは「産業革新の創出支援」が目的の投資ファンドであり、今回のTOBがその目的に沿った形で成立し、業界全体の成長に結びつくことが期待されます。今後のJSRの動向と、国内半導体産業の発展に大きな影響を与えると考えられます。

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