近年、金利上昇や株主圧力の増大を背景に、銀行業界の動向に強い注目が集まっています。なかでも特に注目されているのが、メガバンク各社の進む選択と集中の方針です。その中核には、ビジネスモデルの構造改革や海外展開、そしてテクノロジーの活用があります。
特にみずほフィナンシャルグループ(FG)、三井住友FG、三菱UFJFGの3社の取り組みに注目し、そのビジネス戦略や成果、そしてその成長への期待についてまとめました。
〈みずほFGの選択と集中〉
みずほFGは、「逆襲」の一部として個人向け業務の住宅ローン削減を明言しています。これは成熟市場である個人や中小企業へのサービスを低採算と判断し、対照的に成長市場、法人、海外、そして資産運用へのリソースを注力する方針を示しています。そしてこの方針の一環として、みずほ銀行の木原正裕社長は住宅ローンに対して厳しい視線を向けしました。その背景には、収益の減少を防ぐ必要があるという議論があります。
さらに、法人向けや海外ビジネスが成長牽引となりつつあります。また、業務純益1兆円超という目標達成のためには、「選択と集中」の方針を貫くことが求められます。
〈三井住友FGのデジタル・アプローチ〉
三井住友FGはデジタル化を通じたリテール部門の拡大を図っています。金融スーパーアプリ「オリーブ」を展開し、個々の金融サービスを一つのアプリに集約することで顧客基盤を固める一方、決済事業を軸に業績を伸ばしています。
また、経費削減のため、既存店舗を最少人員のストアに切り替え、年間約300億円の節約を達成しました。総力を挙げてリテール部門の合理化を進めつつ、その一方で既存の強みを生かす戦略を維持しています。
〈海外進出・新興企業と連携強化の三菱UFJFG〉
三菱UFJFGが新たな成長戦略を継続的に展開していることが注目されています。同社は東南アジア市場において、タイの成長が鈍化しているという危機感を抱き、周辺国への進出を積極的に進めています。特に、アユタヤ銀行を中心にM&Aを通じて成長を追求しており、市場の変動に対応しながら地域での強固な存在感を築こうとしています。
一方、国内市場では、三菱UFJFGはイスラエルのフィンテック企業との合弁企業を通じて、AIとビッグデータの活用に力を入れています。この取り組みを通じて、新興企業への融資を行うことで、日本のビジネス環境を活性化させる狙いがあります。さらに、同社は日本のスタートアップ企業に対しても積極的に融資するファンドを設立することを決定し、若手起業家たちの成長をサポートする意欲を示しています。
今後の同社の動向に注目が集まっており、その成果が業界全体に与える影響も期待されています。
参照記事・引用元画像
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