夏の恵みを讃える「梨の日」- 鳥取県湯梨浜町の豊作祈願と祝祭

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日本の美しい季節と言えば、何も桜の春だけではありません。夏の到来を告げる7月4日は、還暦記念日ならぬ、「梨の日」と呼ばれています。これは、数字の4と7(よん・なな)が「梨」を意味する言葉と語呂合わせになることから来ているのです。そして、全国有数の二十世紀梨の産地である鳥取県の湯梨浜町では、この日を大切に祝い、豊作を祈願する催しが行われています。

湯梨浜町は、その豊かな自然環境と肥沃な土壌に恵まれ、全国でも特に美味しい二十世紀梨が生まれる場所として知られています。この二十世紀梨はその名の通り、明治時代から生産が始まり、日本の伝統的な果物の一つであり、日本を代表する果物とも言えます。ここ湯梨浜町が生んだ二十世紀梨は甘く、果汁が豊富で、味わい深いことが特徴です。これは地元の気候や風土が、最高品質の二十世紀梨育成に適しているからこそ実現するものと言えるでしょう。

「梨の日」にちなんで、毎年、生産農家やJAの関係者ら約30人が一堂に会し、樹齢100年以上の古木で知られる「梨の古木」の前で、神々に今年も豊作を祈っています。この神事では、神に向けて玉串をささげ、心から豊作を願う様子が見受けられるのです。

JA鳥取中央によると、今年は天候に非常に恵まれ、二十世紀梨が順調に育つことが期待できると言われています。そのため、8月下旬からの出荷開始に向けて、生産農家たちは期待を膨らませています。寺地政明部長も、「今年は去年以上に梨が大きく育っていて、良い作物になると期待している。ただ、これからの天候、特に大雨や台風が心配だ」と述べていました。

そして二十世紀梨の収穫のシーズンが到来すると、湯梨浜町には梨狩りを楽しむ人々で賑わいます。初秋の風を感じながら、美しい緑の梨の木から直接、自分で選んだ梨を摘む体験は、季節の移り変わりと共に感じる日本の風情そのものでしょう。その梨一つ一つが、農家の期待と祈りを込めて育てられた恵みであり、その味わい深い甘さは、日本の文化や生活を象徴する瞬間とも言えます。

せっかくの「梨の日」、湯梨浜町の二十世紀梨をぜひ味わい、そして、その生産に込められた愛情や想い、祈りを感じてみてはいかがでしょうか。

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エラー - NHK