上海を拠点に活動するアーティスト、劉建華（リュウ・ジェンホァ）の個展「中空を注ぐ」が、2023年6月24日から11月19日まで十和田市現代美術館で開催されることが発表されました。今回の展覧会では、劉の初期から近年までの作品が紹介されます。彼の作品は、土や石、ガラス、陶磁器などを使って立体作品やインスタレーションを制作し、独特の世界観を表現しています。
展示のメインとなる《遺棄》は、ペットボトルや靴などの日用品を磁器で制作した作品で、私たちが使う日用品の大半は一時の役目を果たした後、放置されたり、壊れてゴミになっています。この作品を通して、私たちが土に還らない素材に囲まれて生活し、処分できないものを蓄積し続けている現状が浮き彫りにされます。
また、《塔器》は瓶や壺の口と首の部分だけを切り取った最新作で、空洞の陶磁器の形や流動的な釉薬が特徴です。展覧会のタイトル「中空を注ぐ」は、このような中が空洞の陶磁器の形や流動的な釉薬を連想させるとともに、空虚な「もの」や「こと」が広がっていく現代のありさまともつながっています。そんな空虚さを象徴するような、繊細で脆い陶磁器が、現代を語っていきます。
さらに、当館の常設作品《痕跡》（2010年）の造形ともつながる浮遊する枕《儚い日常》（2001年-2003年）や、壁につたう墨汁や陶器の仕上げに使う流動的な釉薬を思わせる《兆候》（2011年）など、多彩な作品が展示されます。
この展覧会では、アーティスト・トークや学芸員による企画展示ギャラリートークなどの関連イベントも開催されます。劉建華による作品解説や制作の秘話を聞くことができる貴重な機会となるでしょう。また、学芸員が、作品の背景や制作過程について深く解説する企画展示ギャラリートークも見逃せません。
彼の独自の世界観が詰まった作品たちに思いを馳せ、日常の中で見過ごすことの多い土や石、ガラス、陶磁器などの素材に触れることで、新たな視点や感動を得ることができるかもしれません。ぜひ足を運んで、劉建華の個展「中空を注ぐ」をご覧ください。
〈十和田市現代美術館〉青森県十和田市西二番町10-9。2023年6月24日～11月19日。9時～17時。月曜（祝日の場合はその翌日）休。一般 1,800 円（常設展込み）。高校生以下無料。
参照記事・引用元画像
