新型コロナウイルスのパンデミックが企業に与えた影響は甚大で、特に経営状況が厳しい中小企業は経済活動の立ち直りを求める声が高まっています。その背景には、コロナ禍で利用された「ゼロゼロ融資」すなわち無利子・無担保の融資の返済が本格化し始めるという事実があります。兵庫県内では既に中小企業約1万5千社が返済を始める見込みとなっており、経営効率や現金流の調整に多大なプレッシャーがかかっています。
「ゼロゼロ融資」は、経済活動が停滞した2020年に多くの事業者が借り入れを行いました。これによって繁栄を維持し、雇用を守るための一時的な救済が提供されました。しかし、その返済開始が今年の6月から8月に集中しており、経済が完全に回復する前に返済義務が生じてしまった企業が多く存在します。
兵庫県では全体で約4万4千社が民間金融機関から融資を受けています。それらのうち約1万5千社が今年度に返済を開始し、その大部分がゼロゼロ融資によるものです。一部の企業にとっては単純に資金を返還するだけの問題であるかもしれませんが、返済を始める企業の中には収益環境が悪化した中小企業も多く存在し、返済に四苦八苦している現状が見受けられます。
このような企業を支えるため、県は支援制度を始めて経営状況をチェックし、必要な場合は再生や廃業の具体策を提供しています。臨時の資金を提供し、倒産を避けるための具体的な策を提案し、経済活動の回復を後押ししています。しかし、全国的に見れば、今後倒産への懸念事項は大きいと言わざるを得ません。
「ゼロゼロ融資」の返済が重なることにより、経済的な困難が増大し、これ以上の企業倒産を防ぐためにはより具体的な支援策が求められます。また、金融機関にとっても返済不能となる企業が増えることは、彼ら自身のリスクとなるため、貸し手である銀行や財政部門も、返済期間の延長や返済額の減額などの対策を検討しています。
この困難な状況を切り抜けるためには、企業自身が財務管理を強化するとともに、地方自治体や金融機関と共に経済の健全な回復を目指すことが必要不可欠となります。返済問題は、一企業の問題ではなく、地域経済、さらには国民経済全体への影響も考えられます。現在急務となっているのは、各種支援制度を最大限活用し、持続可能な経済活動を維持することでしょう。
我々は、ゼロゼロ融資からの回復、そして倒産への道を歩まないように取り組む中小企業を、最大限にサポートする責任があると言えるでしょう。それが、地域経済、そして国民経済全体の持続可能な回復につながることを忘れるべきではありません。
参照記事・引用元画像
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