2023年上半期、保険代理業の倒産件数166.6%増加。前年同期の2.6倍

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「保険代理業」における倒産件数が2023年上半期に大幅に増加しています。具体的には、生命保険、損害保険を扱う「保険代理業」の倒産が、2023年上半期(1-6月)に16件となり、前年同期比166.6%増となる前年同期の2.6倍となりました。増加のペースが続けば、2001年の25件を上回る過去最多の倒産が見込まれます。

〈小・零細規模の倒産が顕著に〉

市場では、日本の人口減少の影響を受け、大手事業者の出店攻勢やネット完結型保険の登場、新商品の投入などが進み、顧客の開拓が盛んに行われています。この中で、コロナ禍により対面営業が行いにくくなったことが加わり、厳しい状況が続いています。倒産の具体的な負債総額は4億3,600万円で、平均負債は2,700万円となり、小・零細規模の倒産が多くを占め、前年同期(5,400万円)から半減しています。

保険代理業は、複雑な保険商品設計の特性上、加入の際には相談しながら検討したい顧客ニーズを組み込む形で成長してきました。そして、最近では複数の保険商品を比較できる「保険ショップ」も浸透し、大手事業者による多店舗展開も進んでいます。

〈他業種参入やWeb導入による課題〉

しかし、これらの活動背景には少子高齢化という課題があり、インターネット経由での直接契約や、保険以外の業種からの参入が増え、競争はいっそう激しさを増しています。この状況下、コロナ禍により対面営業が制約を受け、契約数の確保がより困難になっています。大手代理店はWeb窓口と来店型ショップを駆使してシェアの維持を試みていますが、経営余力の乏しい中小・零細企業は経営難に陥っています。

また、一般社団法人生命保険協会の「生命保険の動向(2022年版)」によれば、代理店数は2017年度の8万8,650店から2021年度の8万537店へと8,113店も減少しました(9.1%減)。この減少傾向は今後も続くと考えられ、小・零細代理店を中心に倒産や廃業の増加が進む可能性もあるとの見解を示しています。

〈まとめ〉

2023年上半期(1-6月)の保険代理業の倒産は16件と大幅に増加しており、原因としては「販売不振」が最も多く、全体の約9割を占めています。これは、コロナ禍前からネット販売や同業大手との競合が原因で売り上げが低迷していたこと、さらにそれにコロナ禍に伴う来客数の減少が追い打ちをかけた結果と言えるでしょう。

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