近年、インターネット上で音声通話ができるIP電話が悪用された犯罪が増加しています。これに対して、松本剛明総務大臣が、IP電話の契約時における本人確認を義務化する方針を明らかにしました。本稿では、その背景と今後の制度改正について解説します。
〈犯罪への悪用が多い〉
特に「050」で始まるIP電話は、電話発信や受信が匿名性が高く、犯罪に悪用されることが多いとされています。これに対し、政府では契約時の本人確認や悪質事業者が保有する電話番号の利用制限を目指す制度改正を進めることになりました。
今後は、IP電話契約時に身分証明書の提示が必要となる可能性が高くなります。犯罪者による身分証明書の偽造が横行する中、政府はマイナンバーカードを活用した本人確認書類の偽造対策も進める予定です。
〈対策プラン策定〉
犯罪対策閣僚会議においては、闇バイトや特殊詐欺などへの緊急対策プランが策定されました。その中で、携帯電話契約時の本人確認や悪質な電話転送サービス事業者への対策が議題となりました。
政府は、IP電話の利用者が増加する中で、犯罪対策の一環としてこうした制度改正を経て、インターネット上での安全な通話環境を実現したいと考えています。
〈今後の動き〉
今回の方針が正式に決定されると、インターネット電話サービス業界に大きな影響を与えることが予想されます。総務省によると、現在は40社程度の企業が「050」で始まるIP電話サービスを提供しており、そのうち約半数が本人確認をしていないとされています。
しかし、今後は本人確認が義務付けられることで、これまでの状況が一変することが予想されます。犯罪対策と称して制度改正が進められる中で、業界の見直しや統廃合が起こる可能性もあります。
また、消費者に対しても影響が及ぶことが予想されます。IP電話を利用する際には、本人確認が必要となるだけでなく、利用料金や契約内容にも変更があるかもしれません。今後の制度改正の進捗に注目が集まっています。
〈まとめ〉
松本剛明総務大臣は、IP電話の契約時における本人確認を義務化する方針を明らかにしました。これにより、犯罪に悪用されることが多い「050」で始まるIP電話に対して、契約時の本人確認や悪質事業者が保有する電話番号の利用制限を目指す制度改正が進められることになりそうです。犯罪対策としての効果が期待される一方で、インターネット電話サービス業界や消費者にも大きな影響が予想されます。今後の制度改正の動向に注目が集まります。
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