地方銀行系証券の苦境 – 仕組債販売停止の影響と新たな収益源の模索

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近年、地方銀行系の証券会社が厳しい経営環境に立たされています。東洋経済が2023年3月期の決算をまとめた結果、27社中10社が最終赤字となっていることが明らかになりました。この苦境の背景には、株式相場の低迷と「仕組み債」と呼ばれる金融商品の販売停止が大きく影響しています。

▶︎仕組み債とは?リスクの高い金融商品

仕組み債とは、デリバティブを利用したオプション取引の一種です。高い利回りをうたいながら、株価や為替などに連動して償還条件が変動するため、下落時には大きな損失が発生するリスクがあります。当初はプロ向けに開発されましたが、後に一般の個人投資家への販売も行われていました。

▶︎金融庁による販売停止指導

2022年6月、金融庁がリスクの高い仕組み債の乱売を指摘し、地方銀行系証券会社にも販売停止を求めました。この影響で主力商品を失った地銀系証券は、10社のうち1社を除き最終利益が減益または赤字となってしまいました。

▶︎大きな影響を受けた証券会社

特に北海道の北洋証券や長野県の八十二証券は、仕組み債販売停止の影響を大きく受けて深刻な赤字に陥っています。一方で、ちばぎん証券は有価証券の売却で特別利益を計上し、何とか黒字を確保しました。

▶︎地銀系証券の収益源確保が課題

仕組み債の手数料収入は地銀系証券にとって大きな収益源でした。金融庁幹部は「銀行の本業ではない」と指摘しており、今後は別の収益源の確保が急務となっています。顧客ニーズに応える新サービスの展開など、経営判断が試される時期を迎えています。

参照記事・引用元画像
地銀系証券が「仕組み債」の販売停止で陥った苦境
地方銀行傘下の証券会社が苦境に陥っている。東洋経済が全国27社の地銀系証券会社の2023年3月期決算を集計したところ、10社が最終赤字になっていることがわかった。昨年軟調に推移した株式相場に加えて、痛手とな…