第169回の芥川賞および直木賞が7月19日に発表され、新たな文学の高みを極めた作家たちが名を連ねました。芥川賞は市川沙央さんの「ハンチバック」、直木賞は垣根涼介さんの「極楽征夷大将軍」と永井紗耶子さんの「木挽町のあだ討ち」にそれぞれ授与されました。
〈芥川賞に市川沙央さんのハンチバック〉
早稲田大学卒業の市川沙央さんの「ハンチバック」は、親が遺したグループホームで暮らす重度障害者の女性が主人公。障害者を取り巻く問題や“普通”を求める心情、そして「生」、「性」、「健常者の特権性」を鮮やかに描き出しています。作者である市川さん自身、先天性の難病を抱えながらも記筆を続け、この作品で初めて純文学に挑戦、文学界新人賞を受賞。そして今回の芥川賞という快挙をデビュー作で成し遂げました。
〈直木賞に垣根涼介さんと永井紗耶子さん〉
一方、直木賞は垣根涼介さんと永井紗耶子さんに授与されました。垣根さんの作品「極楽征夷大将軍」は、室町幕府初代将軍・足利尊氏を主人公にした歴史小説。尊氏の一生を深く描きながら、何のやる気や使命感もない一人の人間がどうやって天下を手に入れたのかを考察しています。垣根さんは長崎県出身で、筑波大学卒業後、旅行代理店を経て作家デビュー。直木賞の受賞は3回目のノミネートにしての初でした。
永井紗耶子さんの「木挽町のあだ討ち」は雪降る夜に芝居小屋の裏手で起きた仇討ち事件を描いた時代小説。現場に偶然居合わせた者の証言から、仇討ち事件の裏に隠された真実が徐々に明らかにされていきます。作者の永井さんは神奈川県出身で、慶應義塾大学を卒業後、産経新聞の記者として活動。フリーランスを経て作家デビューし、直木賞は2回目のノミネートでの受賞となりました。
このように、それぞれ異なるバックグラウンドを持つ作家たちが、個々の視点や言葉を通じて読者に新たな世界を提示したことで、文学界に新たな風が吹き込んだと言えるでしょう。そして、その多様な視点が文学界に新たな可能性を生み出すことでしょう。彼らのこれからの活動から目が離せません。
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